札幌(とか)の銭湯を(おふろニスタが)行く

家が火事になりましてね。風呂がないんですよ。で、チャリで札幌の銭湯を巡っていたら、いつの間にかおふろニスタになっていました。中年男性がお風呂が好きだと叫ぶだけのブログです。

14,豊平区平岸 千成湯

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私のような中年世代が生まれた昭和40年代から50年代、札幌には270件の銭湯があったそうだ。

しかし、2018年現在、『さつよく』(札幌公衆浴場商業協同組合)に加盟し、銭湯スタンプラリーに参加している銭湯は40件まで数を減らしている。

www.kita-no-sento.com

くわしくは上記サイトで変遷をご覧いただける。時間の流れを改めて思い知らされることだろう。

ご多分に漏れず、幼少期に利用していた銭湯も、今はその半分を残すだけだ。

小さい頃は母親とともによく銭湯を利用したものだ。そのころの我が家には風呂がなかったからだ。付け加えるなら、ストーブは石炭で、5人家族が二間にみっちり暮らしていた。つまり、なかなかに貧しかった。

そのころよく通った銭湯の中で、現役で営業している公衆浴場が2つある。

それが今回の項の『千成湯』、そして次の項に書く予定の『東豊湯』である。

ちなみに1番身近にあったのは、小さな市場の横にあった小さな銭湯だ。よく利用していたのだが、早々になくなってしまった。現在はローソンになっている。

その銭湯は大きな浴槽がドンと1つあっただけだったはずだ。古い記憶なのであいまいだが、少なくとも幼心を満たすような公衆浴場ではなかった。

その銭湯がなくなったため、かわりに千成湯を利用することになった。初めてかの湯に行ったときは目玉が飛び出るかと思ったものだ。

あまりにもきれいで、あまりにも美しく、湯船がいくつもある。まるでアドベンチャーワールドのようだった。

実は、東豊湯でも似た感情を覚えたのだが、それは別の話だ。

その時の私は母に連れられ女風呂に入っているほどのちびっこだった。

時は流れ、ちびっこはいろいろな人生経験を積み、名実ともにおっさんとなった。中年男性中の中年男性は、かつて感動した銭湯にどんな思いを抱くのだろうか。

図らずも故きを温ねる機会が生まれた。

それもまた銭湯スタンプラリーの1つの効用なのかもしれない。

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久しぶりに訪れた千成湯は小さく感じた。『せまく』ではない、『小さく』だ。

それもあたりまえかもしれない。

私が来ていたのは身長130cmにも満たないころなのだ。180cmとなった今、見え方そのものが変化していてもまったく不思議ではない。でも、現実世界でサンタローズに迷い込んだみたいな不思議な感覚がある。

ロビーを抜け、脱衣所で裸になっていると目に留まるのが扉の恐竜の飾りだ。いや、そのかわいらしさをあらわすには「きょーりゅー」と書いたほうがよいだろう。

安心した。

千成湯の子どもへの心づかいは、あの頃のままだ。

子どもだった客が大人になって戻ってくる。まるでニューシネマパラダイスではないか。まだ全裸になったばかりなのに、ノスタルジックな気持ちが止まらない。

グッとくる気持ちを抑え、浴場へと足を踏み入れる。やはり感じるのはあのころと比べた小ささだ。

「あれ、俺、ここで走り回って怒られてなかったっけ?ここで走り回ってたら、そら怒られるわ」

湯船につかってもいないのに顔が赤らむ。

周りをよく見てみれば、奥には小さな富士山の壁画があったり、循環させたお湯が壁の上から流れたりとハイカラさが醸し出されている。

千成湯がこのようにビジュアルにこだわっていたから、ちびっこ時分になんだか楽しい気分になったのかもしれない。見た目の重要性を改めて認識させられる。子どもにとって、わかりやすさは何より大事なのだ。

しかし、今や私は大人だ。

見た目にはだまされない。大事なのは中身だ。ここからは厳しい初心者の目で千成湯を見させてもらおう。

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まずは主浴。

熱め。うん、いいじゃないかいいじゃないか。

いや、「悪くない」だ。大人はそんなに甘くないぞ!

ひいき目をさっぴこうとするとガラにもなく、つい辛口を気取りたくなるのはなぜだろう。

次は電気風呂!

ごめんなさい。電気風呂はごめんなさい。よさがまだわからない。あなたは悪くない。これは私の問題です。

そして、ぬる湯!

はぁ、ぬる湯も完備なのね。これは楽しみ……いかん!!!問題はニルヴァーナなのだ。いかにニルヴァーナに達せられるかが最重要項目だ。

では、サウナ!

子どものころは見向きもしなかった場所だ。

熱め、せまめ。

あれ?

あれれ?

ぜんぜん子ども向けじゃなくね?むしろ、けっこうきつめじゃね?

なめてたー。千成湯なめてたー。大人にもベクトル向いてたー。

耐えられん、耐えられん。

水風呂だ!水風呂に逃げろー!

ぶっはーーーーーーーーーー

っぶっはーーーーーーーーーーー

バイブラ水風呂キンキンバージョンじゃねえか!!!!

この銭湯が子ども向けだといったやつは誰だーーーーー!!!

だーーれだーーーー!!!

ダーーレダーーーー!!!

ダーーリダーーーー!!!

オーーレダーーーー!!!

レーーーダーーーー!!!

レーーーザーーーー!!!

はい、そりゃあもう飛びましたよ。遠くまで飛ばされました。ノスタルジックだったのは最初だけ。あとは達しまくるおじさんとして、大満足で過ごしました。なーにがニューシネマパラダイスなんだか……

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思い出の地巡り、第1陣。改めて訪れた千成湯には、子どものころには見えなかった仕掛けがあった。20数年経ってはじめてわかる真の姿だ。

思い出の地巡りはまだ続く。

次の場所は、子どものころ、もっとも長い間、もっとも多く利用していた場所だ。2日に1度は行っていたのではないだろうか。

大人になった今、かの地は私に何を見せてくれるのだろう。

次回、豊平区豊平『東豊湯』