札幌(とか)の銭湯を(おふろニスタが)行く

家が火事になりましてね。風呂がないんですよ。で、チャリで札幌の銭湯を巡っていたら、いつの間にかおふろニスタになっていました。中年男性がお風呂が好きだと叫ぶだけのブログです。

せん湯とごはんvol.2)白石区菊水『菊水湯』と白石区菊水『綱取物語』

f:id:tkasaiii:20200225181052j:plain

肉欲が抑えきれない。

どうしても鎮まらない。

自分で言うのもなんなんだが、私はおおむね欲の少ない人間だと思っている。パンツは擦り切れるまで履くし、着れる服があれば、特段新しく買うことはない。

何か欲しいものがあるわけでもないし、何かを失いたいわけでもない。夢の中で暮らしてる、夢の中で生きていく。心の中の漂流者、明日はどこにある?

そんなフラカンのような私でも、ときどき暴力的なまでの肉欲に襲われることがある。

その頻度は少ないのだが、その分、1度とらわれてしまったらどうにもならない。それが今日だった。

気がふれる。

それしか考えられない。

そのためだったら周りの目など気にならない。

友人を誘ってすすきのに行くべきか。それとも一人で行くべきか。たしかにすすきのに行けば、選択肢はいろいろあるはずだ。

しかし、すすきのはハードルが高い。

そう、多くの札幌市民にとって、すすきのに行くことは日常ではないのだ。

そんな私のような人間のために白石区菊水はある。

ーーーーーー

菊水と言えば、白石区銭湯四天王の一角『菊水湯』がある。肉欲を満たす前に、鋭敏な体を作り上げる必要がある。

菊水湯。創業・昭和5年。札幌市の表と裏を見続けてきた銭湯である。

暖簾をくぐると、ささやかではあるが、かわいらしい、ライトアップされたオブジェが出迎えてくれる。

バンダイには、これまたかわいらしいおじさん(か、おばさん)が迎えてくれる。

熱い主浴・ジェットのちょい熱副湯・超ぬるぶくぶく緑のちっちゃいバイブラ湯。そして、チンチンに冷え切った水風呂。

この4つが連結した浴槽がど真ん中にデンッと構えている。

交互浴一発目。

あつ湯⇒水風呂のコンボから『ずきゅん』とトンだ。早速訪れるニルヴァーナ

ふとももにうかぶあまみ。耳の奥に聞こえる血液の流れ。聞こえてくるお湯の流れる音。

理性が遠のくと同時に野生が戻ってくる。

気を取り直して、サウナへと移る。

菊水湯のサウナは広い。ゆえに、座る位置によって、感じる温度がずいぶん違う。全体的にぬるめなので、体にかかる負荷はどの位置でも大きくはない。ゆえに今の自分に合わせたチューニングができる。

じっくり時間をかけて、自堕落な日常生活によってくたびれた五感を目覚めさせる。

そして、チンチンの水風呂へ。

これは高まる。

高まっちゃってる。

体中の感覚が。

そして、抑えきれない肉欲が。

カラダジュウガヨクボウデミタサレテイク

ーーーーーー

菊水湯をあとにする。肉体は最高に研ぎ澄まされ、心は極限まで飢えている。

お目当ての場所。そこは徒歩10分とかからない。

f:id:tkasaiii:20200225184010j:plain

これが『麺部屋 綱取物語』である。札幌でも1・2を争う肉欲を満たすことのできるラーメン店だ。

肉欲を満たす場所は、焼き肉やハンバーグやステーキだけではないのだ。

四の五の言わずに、実際にご覧いただこう。

f:id:tkasaiii:20200225184210j:plain

異常なまでの大きさ。

狂気を含んだ厚さ。

『綱取物語』を語るうえで欠かせない、名物「横綱チャーシュー」。

f:id:tkasaiii:20200225184340j:plain

箸で持とうにも、あまりに重い肉塊。

もう待てない。肉欲が穴という穴からもれだしてしまいそうだ。

体はでき上がっている。これを口いっぱいにほおばるために今までの時間があった。菊水湯での交互浴・サウナと水風呂のセッションで味覚はこれ以上ないほど鋭敏に研ぎ澄ましてきた。すべてはこのためなのだ。

麺やスープには目もくれず、可能な限りの大口で「横綱」を迎え入れる。思わず迎え舌になってしまうくらい待望の肉塊である。

くちょ。くちょ。

あっ、恥ずかしい。でも、口いっぱいに詰め込んじゃったから、唇が閉じない!

はしたない。食べる音が周りに聞こえちゃう!

ごめんなさい!ごめんなさい!

でも、この音は、分厚いチャーシューの肉汁と脂、そして、肉に含まれた味噌味のスープが口の中で混然一体となっている音なの!

ああ、恥ずかしい!でも、幸せ!

きゅむ。きゅむ

噛むのをやめられない!

噛みしめるたびにあふれ出てしまう!

うまみが!そして、とんでもないカロリーが!口の中で暴れまわっちゃう!いや、むしろ暴れまわって!

ーーーーーー

帰り道。

菊水湯と綱取物語で満たされた肉欲によって、体が熱くてたまらなかった。

大雪に見舞われた札幌の道は、すでに溶けてぐちゃぐちゃだ。

気温のせいもあるだろう。

しかし、少なからず私の体温の影響もあるはずだ。

なにせ、熱くて熱くて、コートのチャック全開で帰ってきたにもかかわらず、お家に着いたら汗でびっちゃりだったのだから。

はー、うまかったー。