始まりの前~0ポイント地点
私が銭湯に興味を持ち始めたのは、プロフィールにある自宅の火災よりもずっと前になる。
銭湯に『行かなけらばならない』状況に追い込まれる前から、私の心は銭湯に対する関心に満たされていたわけだ。
ただ、興味関心はあれど、私には行動力というものが欠如していた。なけなしの行動力を後押しするのが火災だったのだ。
では、興味関心はどこから湧いてきたのか。
その源泉ともいうべき0ポイントを3つ紹介する。
1つ目はタナカカツキ先生の『サ道』
私はモーニングに連載されていたこちらで心を奪われていた。
2つ目は銭湯神の記事
銭湯神はこの記事でサウナについては言及していないが、水風呂のよさを伝えてくれている。
そして、3つ目が友人Sだ。彼は大学卒業旅行において目の前で水風呂に入ってニルヴァーナ(トリップ)してくれた。
数多くの先駆者のように、私は水風呂もサウナも拷問としか思えなかった。また、そのときのSもしかり。
若気の至りでその拷問をゲームとして取り入れていた卒業旅行でSは突然言い始めたのだ。
「俺、水風呂から出たくない」
Sの頭がおかしくなったと私たちは思った。焦点が定まっていない。
「全然冷たくない」
いよいよだ。なぜならSの口からは白い息が出ている。ここは温泉だぞ?内風呂の中だぞ?
「気持ちいい気持ちいいキモチいいキモチイイキモチイイ」
罰ゲームが若者の理性を奪った瞬間だった。
もちろん当時はそれがなぜなのかはわからなかった。しかし、『サ道』、銭湯神という翻訳者を得た今は、Sがサウナ・水風呂、ひいては銭湯によってニルヴァーナしたことがわかるようになった。
私も整いたい。あのときのSのように。つらい現実からニルヴァーナできるならなんだってしようじゃないか。
そんな原体験を追い求めた銭湯初心者の36歳男性が、地元札幌の銭湯スタンプラリーを自転車で制覇していく。
そんな一人セゾンなブログをいまここから始めたいと思う。
次回、豊平区豊平『鷹の湯』