札幌(とか)の銭湯を(おふろニスタが)行く

家が火事になりましてね。風呂がないんですよ。で、チャリで札幌の銭湯を巡っていたら、いつの間にかおふろニスタになっていました。中年男性がお風呂が好きだと叫ぶだけのブログです。

33,中央区北5条 さつき湯

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1を知り、10を知ることができる人がいる。知性のなせる業なのか、才能なのか、豊富な経験によるものなのか。さらりとやってのけるその姿にあこがれてしまう。

そのあこがれは、やすやすと到達できないからこそ生まれるものだ。

それなのに、「1を知って、10を知ったつもり」の似非が、本物以上に世の中を闊歩している。

札幌に生まれたからといって、北海道のすべてを語ってみたり、銀だこが好きだからといって、たこやき知識人のふりをしてみたり。

いっちょかんだくらいで、銭湯のすべてを知ったような顔で文章を書いてみたり、1年間通ったことでいっぱしの銭湯通を気取ってみたり。

似非が誇らしげに着ている安物の衣装ほど情けないものはない。

そんな似非が、銭湯を否定するための例にする忌まわしき事件がかつて札幌の銭湯であった。その不憫な現場がさつき湯だ。

「あんなことがあるから、銭湯になんて行きたくない」

銭湯の1にも満たない情報で、銭湯を否定する愚かさ。銭湯、さつき湯が悪いのではない。暴走した性欲を制御できない獣が悪いのだ。

まずは行ってみよう。それから考えよう。それが人としての最低限の礼儀だ。

まあ、さつき湯に行ったら、気持ちよくて考えることなんてできなくなるのだけれども。

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スタンプラリー〆切が迫り、時間が取れない。作れても1時間。しかし、銭湯を味わいきるためには2時間は必要だ。

むうう

そんな21時半。さつき湯の脱衣所は、美しい木枠4連鏡をババンと誇り、疲れた体をお出迎えしてくる。銭湯の鏡はどこも巨大で見事だが、枠までかっこいいというのも珍しい。

残された時間も多くはないので、さっそく浴場へと赴く。

千成湯方式の循環システムの主浴だ。深あつ湯。そして、ちょいあつの寝湯。さらにネオン風呂。

……ネオン……風呂?

なんだ、ネオン風呂って。ネオンな感じは皆無だが、どこがネオンなのだろう?謎だ。

さらりと全種を巡り、水風呂を先に体験する。キンキンバイブラだ。これはサウナだな。気がついたら閉店まで30分。どこまでとべるか。時間との勝負だ。

サウナ室に入ると、あっという間に汗がだくだくだくだく湧いてくる。温度計は82℃になっているが、汗の量が半端ではない。

熱すぎるサウナもいい。

ぬるいサウナもいい。

だが、どんなサウナでも汗がだくだくだくだく出るサウナがやはりいい。

そのあとにキンキン水風呂が待っているのだから、もうこれはすでに満足度が高い。

まんまんまんぞくである。

いっぽんまんぞくである。

マンマンマンゾク

イッポンマンゾク

マンマンマンゾク

イッポンマンゾク

バーーーーーーーーーー

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時間がないのが本当に口惜しい。いいサウナ、いい水風呂、いいネオン風呂だった。ネオンが何かは最後までわからないままだったが。

夏休みの宿題をため込んで、最後の日に全部片づけるタイプの私は締め切りに追われてあたふたし始めた。あわててスタンプを集める必要がある。

残り6軒。

私に短い時間でも各銭湯のよさを引き出しきることができるだろうか。

次回、東区北10条『北光湯』